部下を持つ上司の皆さん。
部下の扱いに困った経験はありますか?
例えば、会議で全然意見を出してくれない、なかなか動いてくれない、そもそもやる気がない、など。
人は感情で動く生き物なので、指示の仕方や伝え方、仕事の方法を変えてみるだけで無意識にモチベーションに変化が生まれて効率よく動いてくれるようになることがあります。
今回は、部下がやる気を出す心理、仕事のモチベーションの高める方法を紹介します。
人間社会に深く影響する心理学
豆腐メンタルのとふめんです。
人の心理はとても複雑で、仕事の出来る人でもベテランでも予想のつかない人間関係のトラブルや悩み、衝突が起こることがあります。
なぜかというと立場の違う他人(年齢や役職、役割の違い)の心理を理解することが難しいからだということが考えられます。
自分の視点と他人の視点では見えているものも違うので、指示を出しても思い通りにならないこともあります。そこで、会社などの組織で働く人の心理に関わる分野である組織心理学や社会心理学などの知識が役立つかもしれません。
(学校も家族も恋愛も仕事も、全ての人間関係が他人の気持ちを考える社会なので、むしろ授業の必修に「心理学」を入れてほしいと思っているくらいですけれども)
そう思ってしまうくらい心理状態は行動に影響されやすく、相手の心を理解できていない大人も沢山いるということです。
ということで組織心理学とは何か、というところから解説していきます。
組織心理学とは
「組織心理学」というのは、会社などの同じ目的を持った組織で行動する環境分野の心理学です。
組織内では各々の役割があり、それぞれが適切に働くことでひとつの目標を目指して
会社が回ります。
▼組織内での役割の例
◆陰でフォローに回るサポート役の人
◆情報収集が得意な人
◆アピール上手で利益を上げる人
◆組織の体制やバランスを管理する人
◆鋭い意見で空気を変える人
◆目立つことはせず、地味に仕事をこなす人
◆場の雰囲気を明るくし、現場の士気を上げる人
◆場の空気を乱す人
◆さぼる人
組織の中でも、直接的に貢献する人、サポート的に役に立っている人、または役に立っていない人など、組織が意図するしないに関わらず様々な役割の人が生まれます。
部下が動かない原因
組織の中では、団体組織で行動していることや立場の違いの関係性などが原因により、本来の力が発揮できなかったり意図した目標に進まなくなってしまうことがあります。
組織で起こってしまう問題をいくつか紹介します。
1.専門用語が理解できない新人との間に誤解が生じる
どの業種でもその業界、職場でしか用いられない略語や専門用語が使われます。
しかし、その言葉の意味や知識をお互いが理解できていないと会話は通じないことがあります。
専門用語は、その情報のやり取りの経験が浅いほど誤解が生まれやすい傾向があります。
例えば入社したての新入社員はまだ専門用語や知識の理解度が低く、上司の説明や指示が正確に理解できていないことがあります。
「まだこの人は基礎的な知識も身についていない」ということを理解していないと、何度も説明する手間になったり説明不足による手違いが起きてしまいます。
これは相手の理解力に合わせて説明しなかった自分の責任でもあります。しかし問題点を相手にあると決めつけてしまうと、相手に対して不満やイライラを感じて態度が荒くなってしまいます。
分からないことを怒られ続けた新人は、段々と聞き返したり質問することが億劫になります。正確に理解していなくても「分かりました」と返事をするようになります。
結果、手違いによるミスが起こります。
問題は「理解力のない部下」ではなく、ちゃんと説明したつもりになっている上司側です。
自分が新人の立場になったつもりで、面倒でも相手の理解度を追って確認していく必要もあります。イライラした態度で無意識に相手を威圧していないかも注意する必要があります。
2.意見の出ない会議の心理学
大人数で集まっているのにも関わらず、発言しているのはいつも一部の数人。という会議はどこの職場でも珍しいことではないようです。
これは社会的な心理が働いていることも影響しています。
▼意見が出ない会議の心理
・控えめな人は意見が違っても反対せずに従ってしまう
◆同調圧力
・同じ意見が続くと自分もその意見に同調してしまう
◆社会的手抜き
・人数がいると自分の意見を積極的に発言しなくなる
権力のある上司やリーダー格が先に意見を出すと、部下や主張の弱い人は考えていた意見が違ったとしても反論されたり否定されることを恐れ、言うだけ無駄だと感じてしまう心理があります。
結果として、意見の良し悪しではなく権威のある人の意見がグループの意見としてまとめられるという現象も起こりやすいようです。
人が沢山いるから良い意見が出やすいとも限らないようです。
部下のモチベーションを高める心理学
では、意見の出ない会議の改善策や積極的になってもらうために、部下のモチベーションを高める方法などはどんな方法があるのでしょうか。
1.ブレインストーミング
「ブレインストーミング」とは最終的にまとまった1つの意見を出すために打ち合わせや会議などで行なわれる討論方法です。
目的は数多くの意見を出し合うことなので、出た意見に批判をしないというルールがあります。理由は否定をされると心理的に発言しにくくなってしまうからです。
多数の人が意見を出し合うことでアイデアの数も生まれるので、一人で考えるよりも良い意見が出ると言われています。
実際に会社で取り入れているところも多くあります。
2.キャンディ効果
作業前にキャンディを渡すと気分が高まりモチベーションUPするという実験があります。
モチベーションが上がることで作業効率向上やミス防止に繋がることもあります。
3.同調状態
スタンフォード大学スコット・ウィルターマスたちの実験で、みんなで同じ動作をしてから作業に取り掛かると協力関係を生みやすいという内容があります。
スポーツ選手の準備運動や飲み会の一本締めなどの動作も、心理学的に協力関係を生みやすいと考えられています。
4.心理的リアクタンス
「やってください」とお願いするより相手の気持ちに同情して意志を尊重した方がモチベーションに繋がりやすいです。
▼相手を尊重・同情する言葉
「これは〇〇をするために行います」
◆同情する
「こんなことやりたくないんですけどね」
◆選択権を与える
「やった方が良いですが、やりたくなければやらなくて結構です」
「やらなくて結構です」「やるよ!」はオードリーのネタで定番の下りです。若林さんのフリは心理学だったんですね。驚きです。
5.役割を与える
人の心理として、役割を与えると性格や能力に関わらずその役割を行おうとします。
例えば発言の少ない人を進行役にすることで、話すようになったりいつもと違うアイデアが生まれるきっかけにもなる事があります。
6.「できる人」と認める
ロバート・ローゼンタールとレノール・ヤコブソンの実験によると、
「あなたは才能がある」「あなたは〇〇の能力がある」など、ある人に対して才能を認めてあげる評価をすることで、仮に実力が伴っていない人でも能力が伸びることがあると考えられています。
まとめ
以上、組織心理学について意見の出ない会議の問題や部下のモチベーションを高める心理学についてなどを紹介しました。
個々それぞれが自分の考えで行動しているつもりでも、社会環境や周囲からの発言の影響で無意識に行動やモチベーションが変わることがあります。
特に多数派の意見が正しいという錯覚は、SNSでよく見られる内容です。
噂でも嘘だとしても、人の心理は簡単に影響されてしまうことがあるということです。
それくらい、自分の環境や周りの人間関係は自分にとって影響力の多いことでもあります。
職場の人間関係で悩んでいる場合は、環境を変えることもひとつの解決手段となることもあります。いくら努力しても解決しない場合は転職も間違ってない判断だと思います。
興味がありましたら是非、参考にしてみて下さい。
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参考
ありがとうございました