ストレスを感じやすくなってきている情報過多の現代では精神疾患で悩まされる人も増加していきました。
そのなかでも20~30代の年代で多い傾向にある4つの精神障害があります。
今回は、その中のひとつである社交不安障害(SAD)について紹介していきます。
社交不安障害とあがり症の違い
豆腐メンタルのとふめんです。
社交不安障害(Social Anxiety Disorder)は障害の区別が難しい部分もあり、おおよそ同義な障害名の通称がいくつかあります。
SAD
社会不安障害
社会恐怖、社交恐怖
あがり症
これらは症状が非常に似ているため、同じグループとして説明されることが多いです。
厳密に言うと「あがり症」は病気ではなく、一種の性格の表現として扱われます。
しかし、症状としては社交不安障害とほぼ同じなので治療対象(障害扱い)とされる場合もあり、専門家にとっても判断の区別は難しいようです。
参考にさせていただきました
最新の2013年改訂のアメリカ精神医学会
過去には社会不安障害という呼び名でしたが最近では社交不安障害という表現が一般的になっています。
社交不安障害(SAD)の症状
この社交不安障害(以下SAD)の症状は具体的にどういった症状なのか紹介します。
SADは、学校や職場など大勢の人前で注目される状況でひどく緊張してしまい、その先の行動がまともにできなくなります。
症状が重度になると 、人前に出ることや失敗を恐れて学校や仕事に行けなくなる人もいます。
さらに同僚や友人などとの比較的距離が近しい関係の相手との会話のやりとりにも不安を持つような場合もSADに当てはまるようになりました。
SADは会話やコミュニケーションだけではなく、
書く、食べる、仕事をする、歌うなどの行動が人前だと急に出来なくなる場合も
SADと診断されることがあります。
▼症状の例
SADを患う人は緊張状態に陥った時に以下のような症状が表れるのが特徴です。
赤面恐怖・・・顔が赤く、熱くなる
発汗恐怖・・・暑くもないのに汗が止まらなくなる
対人恐怖・・・他人の目が気になる、恐怖心、震える
場面恐怖・・・人前に立つ状況などで起こる震えや発言が出来なくなる状態
書痙・・・視線を感じると書いてる手が震えてくる
書痙症状の特徴はこちら
SADは症状が悪化するほど人間関係が怖くなり、人や社会を遠ざけてしまいます。
人間関係が恐怖だからといってSADを改善せずに自分の中で放っておくと、さらに症状が悪化して、すべての行動に対して先伸ばしで逃げ出す傾向が強くなるので、社会復帰がどんどん難しくなっていきます。
なので自力で改善していく姿勢ではなく、周囲からの援助や通院によるメンタルケアによって改善していくことが望ましいです。
▼周囲からSADの判別は難しい
周囲の人の協力が必要とは言っても、SADを周囲に相談せずに一人で抱え込んでうつ病などを併発してしまう例もよくあります。
その理由としては、SADであることを周囲が気付かない、または理解してくれないからです。
SAD症状の厄介な特徴は、家族や友人などリラックスして話せる親しい人の前では発作的症状が表れません。
つまり、相談に乗ってくれるような相手は深刻な症状を目の当たりにすることがなく、本人が相談しても深刻さが伝わりにくいということがあります。
周囲に真剣に相談に乗ってくれる人がいない場合、結局自分の中でだけで戦うことになり、ストレスも溜め込んでしまいます。
社交不安障害(SAD)のメンタルケア
SADは自然に治っていくような病気ではありません。
基本的にSADのような精神疾患は精神科に通い、心理療法という治療によって改善していく方法が一般的なので、当人にとって相性の良い先生に診察してもらうことがおすすめです。
▼SADを発症しやすい人の性格
SADは誰にでもなる可能性はありますが、発症しやすい傾向の性格もあります。
1.プライドが高く、恥をかくことが許せない人
2.子供の頃から内気で人見知りの気があった人
3.子供の頃に、失敗をして皆の前で大恥を掻いたようなトラウマ経験
性格や過去の記憶は消すことが出来ません。
しかし社会生活を避けていくことは難しく、自分の弱さと性格を受け入れて不安になる事例を簡単な所から徐々に症状を緩和させていくことが最善の方法です。
そのような心理面の治療法を認知行動療法と言います。
▼SADとセロトニンの関連
SADの症状が表れるメカニズムとして、脳内から分泌されるホルモンバランスが崩れているためという考えがあります。
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」には精神を安定させる作用があり、
リラックス状態の時に分泌されやすくなっています。
しかし、緊張状態でセロトニンが不足すると、極度の不安症状が起こってしまいます。
参考にさせていただきました
社交不安障害(SAD)は誰にでも起こる症状
SADについて調べていると自分でもかなり当てはまる項目があります。
これは私だけではなく、誰にでも起こり得る可能性のある症状であるの甘く見ることはできない精神疾患です。
▼社交不安障害度の主な診断項目
SADの症状の重さをチェックするためのチェック項目を用意しました。
以下の状況で不安や恐怖を覚える場合は社交不安障害(SAD)に対して注意が必要です。
1.周囲に人がいる環境で電話をする
2.外食や人に見られる環境での食事
3.知らない人も参加するパーティー、会食の場
4.サインをする、見られている環境で字を書く
5.会議で発言する
6.試験を受ける
などが診断例に挙げられます。
◆周りの人と同じように騒いで楽しむことが出来ない。
◆人前で電話すると会話の内容が入らなくなる。
◆会話がすぐにどもる。
◆会議中の発言にかなり勇気がいる。
◆見られていると頭が回らなくなる。
◆学生の頃、クラスで司会進行を任されて教壇に立っただけで涙目になる。
上記の例に近い環境で緊張をしてしまうことがいくつも当てはまりました。
恥ずかしがりやの性格だと言ってしまえばそれまでですが、診断を受けるとSADとして診断される可能性は十分あると思います。
このSADにも、薬物療法や認知行動療法などの治療がありますが、
病気を治すという感覚ではなくて、まず自分が緊張していることや苦手としていることを認めることが前提だと思いました。
自分の弱い部分を弱いと認めて改善するために戦うという意識が治療に繋がるのではないかと感じます。
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ありがとうございました