給料日は明細を見るのが楽しみになりますよね。
しかし明細の中には「控除」という項目があり、年金や保険、税金関係が引かれます。
中には数万も引かれる項目もあり「なんだこれ!」と驚いたことがあるかもしれません。
給与に携わる仕事でもやってないと、給料額のしくみは意外とよくわかっていません。
通勤手当(通勤費)もまたそのひとつですが、一般的には距離や使用燃料分から決められることが多いかと思います。
なので会社から遠い方ほど必然的に手当は高くなります。
ふと「遠くに住めば手当が多く貰えるかも」と思うところですが、そんなこともないようです。
貰える手当が増えるということは、税金として支払う額も増えるということでもあります。
今回は通勤手当額のしくみや課税の関係について紹介していきます。
通勤手当が貰えない会社は違法?
豆腐メンタルのとふめんです。(@tohumen090031)
会社から支払われる給料の内容は明細から確認することができます。
給与明細には細かく基本給のほかに支払われる手当が決められていて、その中に「通勤手当」という項目があります。
この通勤手当とは、職場へ行くためにかかる通勤費用、電車・バスにかかる交通費、自家用車のガソリン代などを負担してくれる手当のことです。
この通勤手当の支給は、会社によって規則が異なります。
義務ではないので会社によって金額や支給条件は異なります。
徒歩などの移動、通勤距離によっても金額は影響され、通勤手当が出ない会社や、そもそも通勤手当自体がない会社もあります。
中には通勤手当の項目としては明示せずに、通勤費込みの給料として支給している企業もあるようです。
詳細を知りたい方は職場の給与担当者に尋ねてみると良いでしょう。
通勤手当の上限は会社による
個々の通勤手当額がどのように決められているのかというと、会社によって規則は異なるものの、おおよその判断基準があります。
1つは職場までの移動距離や燃料代からの算出です。
もう1つは電車か自動車かなど、何の乗り物で会社へ移動するのか、という交通手段によって決まります。
入社したときや在職中に引っ越しをすると、自宅から会社までの距離や交通手段を聞かれることがありますよね。
これは通勤手当額を決めるための情報となります。
結果的に会社から遠いほど沢山貰えることになってしまうので、どの会社も通勤手当には上限が定められていると思います。
例えば上限〇〇km以上はいくら、公共交通機関利用の場合は上限いくら、のように決められていると思います。
▼通勤手当額の基準の例
1.自動車、バイク、自転車等による自家用車通勤
自宅から職場までの距離数に応じて決定
通勤にかかる燃料費を参考に決定 など
2.バス・電車等の公共交通機関による通勤
定期券の金額が通勤手当として支給される
1日当たりの運賃 × 通勤した日数で計算 など
ちなみに公務員は各自治体の規則によって正確に金額が定められています。
例)公務員の通勤手当基準
参考
自家用車と公共交通機関を併用する通勤手当
中には自家用車とバス、のように併用する特殊な通勤の方もいると思います。
その場合、公務員を例にすると、自家用車と公共交通機関それぞれの通勤手当が支給されます。
ある自治体の公務員の場合、併用時の通勤手当上限は月合計で15万円と決められています。
通勤手当と課税の関係
給料をもらうと所得税の支払い義務も発生します。当然、給料が高くなるほど所得税も多く支払うことになります。
しかし、この通勤手当に関してはしくみが少し変わります。
通勤手当は「課税対象額」に含まれず、支払う税金額に影響しない場合があります。
通勤手当は基本的に、課税額が増える対象にならない「非課税」として計算されます。
ただし、「この距離・金額までは非課税、それ以上は課税対象」と決められている場合もあります。
例えば自家用車の場合は移動距離に応じて、公共交通機関の場合は移動にかかる必要最低限の定期代分が非課税の対象となります。
課税対象額・非課税額って何?
そもそも「課税対象額」とか「非課税額」とかどういう意味?という方もいると思います。
「課税対象額」を簡単に説明すると、所得税額を決める計算の元になる額を指します。
所得税は、課税対象額が高いほど支払う金額も多くなります。
つまり、普通は収入が多いほど支払う税額も多いですが、収入が大きくても「課税対象額」を抑えることが出来れば支払うべき税額を抑えることが出来ます。
ですので税金を抑えるには税金計算の元である「課税対象額」をどれだけ抑えられるか、がポイントとなる訳です。
通勤手当は基本的に「非課税額」(一定額以上で課税)なので所得税の計算には含まれません。
通勤費や寒冷地手当などの非課税の手当は、沢山貰っても税金が上がる心配はありません。
▼通勤距離ごとの非課税額の例(公務員)
~2km未満 全額課税対象
2~10km未満 4200円
10~15km未満 7100円
15~25km未満 12900円
25~35km未満 18700円
35~45km未満 24400円
45~55km未満 28000円
55km~ 31600円
公務員を例にすると、2km圏内に自宅があったり、徒歩通勤で通勤費用が掛からない場合はそもそも通勤手当が当たらなかったり、非課税対象の通勤手当が支払われないことになります。
銀行なんかでよく勧められる「iDeCo(イデコ)」も収入を「非課税」扱いにするための手段です。
通勤は社会保険料には影響する
通勤手当は「非課税」の部分が大きいので所得税の支払いにならないお得感がありましす。しかしこれは所得税という税金の話です。
高い通勤手当を貰うと社会保険料額は引き上げることになるので注意が必要です。
社会保険料とは会社と個人で折半して支払っている保険料です。
皆さんも給料から数万円という大きな額を引かれていると心当たりがあるであろうあれが社会保険料です。
社会保険料は「標準報酬月額」を元に計算されます。
はい。またよく分からない用語がでてきました
標準報酬月額とは、社会保険料や厚生年金の支払額を決めるための金額であり、毎月変わらず貰える定額の項目「基本給」「扶養手当」「住居手当」「通勤手当」「役職手当」 などが標準報酬月額を計算する元になります。
社会保険料や厚生年金の支払い額は率によって定められているため、「標準報酬月額」が大きいほど支払額も大きくなります。
通勤手当が大きいと標準報酬月額も引き上げることになるので、一概に通勤手当を沢山貰えばお得。とは言い切れないかもしれません。
駐車場代は非課税に含まれる?
市街地や街の中心部で働いていると、自家用車を停める駐車場が有料の場合があります。
駐車場を会社負担してくれるありがたい企業も存在すれば、駐車場代は自分持ちになる場合もあります。
会社が負担してくれる場合、会社によっては通勤手当とは別に駐車場代として支給されることがあると思います。
ところでの駐車場代は、通勤費や交通費と同じで非課税扱いになるのでしょうか。
駐車場代はというと、通勤手当とは別扱いです。
駐車場代を会社負担してくれますが項目上は課税対象となります。
高速道路代は非課税?
通勤時に高速道路を使う方もいると思います。
通勤時の高速料金まで会社負担にしてくれる所もあると思います。
自宅から職場の距離が極端に遠い場合や、一般道に比べて大幅に通勤時間の短縮差になる場合に支給する企業もあるようです。
高速道路代の税額の規則は、バスや電車などの公共交通機関の利用と同じ扱いになります。
例えば公務員の場合、月15万円以下は非課税です。
以上、通勤費の課税に関するルールについて紹介しました。
通勤手当は基本的に非課税となる分が大きいので、沢山貰ったことで支払う税額が大きく上がるということはありません。しかし、保険料額は上がるので注意してください。
通勤手当について詳しく説明してくれる企業は少ないと思います。
給与明細だけでは分からなくても、社内規則を調べたり総務担当に聞いてみると通勤手当の規則が決められている資料があると思います。
もし税金や保険料額について気になった場合は参考にしてみて下さい。
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ありがとうございました