豆腐メンタルのとふめんです。
人の記憶には強いストレスやショックを受けた出来事がいつまでも残ってしまうことがあります。
例えば、事故や事件に巻き込まれたときの恐怖や不安感が精神や脳内に極度のストレスを与えて、その後に同様のシチュエーションに直面したときに同じような恐怖が鮮明に思い出されてしまうことがあります。
基本的には誰にでも過去の嫌な記憶の「トラウマ」は存在すると思います。
このトラウマは精神的にストレスはかかっている状態で、生活に支障が出るくらい「トラウマ」の程度が大きいものには、外的要因といった周囲の環境によることも多く、精神障害の分類に含まれます。
トラウマ体験による症状の重さ、回復までの長さなどによりストレス障害の中でもさらにいくつかの種類に分類されます。
今回はそのなかの
急性ストレス障害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)の障害の症状違いや原因、特徴を紹介します。
急性ストレス障害(トラウマ)の症状
急性ストレス障害とは、失恋をした、恐怖体験をした、大恥を掻いて精神的に傷ついた、などのような精神的に大きなショックの体験をした場合に発症しやすいです。
ショックを受けた経験が思い起こされるような似た状況に直面した時に、体が強張ったり、思考が働かなくなったりすることがあります。
急性ストレス障害は、広い意味でいうと「トラウマ」です。
「トラウマ」は強いショックを受ける経験があれば誰にでも起こる症状で、通院や治療を行わなくとも、1ヵ月ほどで症状はだんだん軽くなっていきます。完全になくなることはありません。
一人でいるときに嫌な記憶を思い出すと「あー!」って叫ぶことあるよね
急性ストレス障害のまとめ
▶一般的に呼ばれる「トラウマ」のこと
▶治療をしなくても時間が経てば症状は軽くなる
▼症状
▶トラウマに似た状況で嫌な記憶のフラッシュバックが起こる。
▶見た夢でもフラッシュバックが起こることもある。
⇒トラウマの状況に直面するとフリーズ、感情や行動が麻痺する。
※強い精神的ストレスから身を守るための解離症状
PTSDとトラウマの症状の違い
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、急性ストレス障害と同じくトラウマ体験によって症状が表れます。
事故や事件、災害、生死に関わる状況に直面したなどの二度と思い出したくないような強い精神的ショックの経験を受けた人が悩まされる症状です。
症状が異なる点は回復までの期間が長い、あるいはトラウマ症状が軽くならない点です。
数か月~数年経過しても一向に改善されず、一度トラウマを思い起こす経験をしてしまうと、まるで今体験したかのような同じ程度のショック症状が起こり、長期間不安症状に襲われます。
この場合は、自力で治すことが難しいほど精神的な傷が深い可能性が高いので、PTSDであるかを診断してもらい、病院やカウンセリングによる治療を考えた方がよいと思います。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)のまとめ
▶相当強いトラウマ経験がある
▶回復傾向が見られない、改善期間がかなり長い
▶フラッシュバック時に実際と同じくらいの激しいショック症状が起きる
▼症状
▶フラッシュバック時に同じくらいの激しいショック症状が起きる
⇒自身や周囲の人や出来事全てに不安を感じるようになり、
それが原因で感情が鈍くなり楽しいと思えることが少なくなる。
⇒緊張状態が続きやすくなり、睡眠障害、恐怖感やイライラが過敏に起こる。
長期的な症状による精神ストレスでうつ病や依存症を併発する可能性がある。
1ヵ月以上経過しても一向にトラウマからの回復が見られない場合は通院を考えることをお勧めします。
参考にさせて戴きました
外傷ストレスの要因になりうる主な環境
以上2つの障害を引き起こす原因は外傷ストレスです。
精神的ショックの重さやトラウマになる体験は人それぞれですが、
重いストレスになる要因を紹介します。
▼死傷の現場に関わる
目の前で人が死ぬ、大きなケガをする場面を目撃した、あるいは被害者、加害者の立場で体験した場合に急性ストレス障害を引き起こす原因となりやすいです。
例えば、交通事故や火事、地震にような災害が挙げられます。
トラウマから回避行動をとるために車に乗れない、救急車の音が恐い、
火や地震を過度に不安になることがあります。
▼人間関係のトラウマ
幼少期に受けた親からの虐待、学校や社内環境でのいじめ、性的虐待など、人間関係における精神的ショックも起こりやすく、特定の立場の人間(親、クラスメート、先生、男性)の人に対する嫌悪感や恐怖心から心を閉じてしまい、閉じこもりやうつ症状の原因にもなります。
▼仕事環境におけるトラウマ
日常的に活動する仕事環境の中でも様々なストレスが潜んでいます。
責任を負う作業なので当然、思いがけない非難をされることがあります。
今まで自信を持って出来ていた仕事に対してショックを受けるほどの批判を受けた場合、回避行動や自信喪失により急激にその仕事に向き合うことが不安になります。
重症化すると会社に行くことさえできなくなります。
また、仕事中の事故はつきもので作業中のケガやトラブルによりその時に使用していた仕事道具(車、機械、包丁など)がまともに使えなくなることもあります。
PTSDは認知行動療法で改善
脳内に強い記憶として残っているために、忘れることが出来ません。
この恐怖の記憶や不安症状を緩和したり、認知の歪みを直していく必要があります。
治療法には大きく2種類あり、薬物療法と、認知療法があります。
認知療法は、トラウマの出来事を敢えて体験させ、軽い事から
徐々に恐怖心を慣れさせる暴露法などが進められます。
以下の記事にて紹介しています。
仕事の人間関係がPTSDを引き起こす
PTSDになると今まで普通に行えていた行動も、不安によって何もできなくなる場合もあります。
仕事に一生懸命になることも大切ですが、嫌なことを我慢しすぎると精神的な負担も溜まっていき、PTSDやうつ病になることもあります。
仕事では嫌いな人や苦手な人ともコミュニケーションをとらなければなりません。
中にはパワハラまがいの暴言、態度を指導としてぶつけてくる人もいます。
自分のいない場所でこそこそ陰口を叩かれたり、グループから外されてあからさまに避けられるなどの職場内いじめを受ける人もいます。
仕事だからとこの状況に耐えていることがけっして良い事ではありません。
職場や仕事に対して強い恐怖やストレスを感じてPTSDになってしまったら、今度の社会生活に大きな影響を与えてしまいます。
今の職場の人間関係に悩んでいるのなら、自分の置かれている状況を一度落ち着いて整理して今度に向けてどう行動していくか考えてみることも良いと思います。
今の仕事や職場で、人間関係に耐えられるくらいのメリットや好きな点があるならばそのまま続けてるのも方法です。今の職場環境に耐えられないならば、転職、異動などを考えてみても良いかもしれません。できれば一人で悩むより、相談できる相手がいた方が心強くなります。
▼転職を考えてみた方がよい職場環境
1.上司が指導の域を越えた暴言、暴力を与えてくる
2.無視される、必要な報告をされない。
3.仕事以外の会話がない。
4.職場のグループや集まりからはぶかれる。
5.明らかに手に負えない量の仕事を与えられる。
6.仕事の責任を押し付けられる
7.サービス残業の強要
8.仕事を与えられない
9.人前で恥をかかされる
10.セクハラ、プライベートを必要以上に詮索される
環境を変えて出来るだけトラウマな記憶を思い出させない所に移すことも考えても良いかもしれません。
ただし、職場や生活環境を変えても思いがけない場面からトラウマと関連した出来事が思い起こされる可能性もあります。自身や周囲の方とも相談しながら考えるのが良いと思います。
参考文献はこちら
『専門医が解決! 心の悩み』
日本大学医学部 精神神経科助教授
渡辺 登 著
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ありがとうございました